担当さんにインタビュー!-児童養護施設とグループホーム新築の裏話 Part.2-

最初から読む(Part.1はこちら)
4月から開所する蒼生について聞かせてください。
開所まで設計段階から綿密に話し合いをされていたと思います。一番重要視したのはどんなところですか?
子どものプライベートと職員側の運営の両立かな、って思っています。子どもに”見張られている”って思ってほしくはなくて、”見守られている“程度の把握ですね、こんなのは言いようかもしれませんが。
今回の設計って見通しのよい廊下があって、その両脇に個室がある設計ですが、見通しが良すぎても子どもが居心地悪いのかなとも思ったりもします。難しいところだなって思いました。こちらが把握して安心できるラインと、子どもたちが見張られているわけではないなと思えるところの妥協点がうまく合っているといいなと思っています。
なるほどですね。

職員室にかわいい窓がありました。あの丸い窓はどんな意図がありますか?
事務所の玄関側の壁に丸い窓を開けて頂きました。
というのも、職員が事務所で仕事をしているときに、「誰が帰ってきたな」っていうのを見えるようにと思ったからです。
ただ、受付みたいな小さい窓でガラガラって開けるような無機質な感じにならないようにと思って、ちょっと無理をいって丸くしてもらいました。丸くすると少し違和感をごまかせるというか、和むっていうか。四角より丸の方が、見張られているより見守られている感じがでるかな、みたいな感じです。
事務所感がでなくて素敵なアイデアだなと思います。そういう理由で丸くしたんですね。
もともとは今使っている本体施設の事務所の扉に丸い窓がついているんですよ。そこはもともと幼児さんが使っていた
部屋なんですけれども、設計者の方と相談していく中で「こういう丸い窓を作ってください」ってお話をしました。あぁこの窓良いなって思ったのがきっかけですね。

玄関から入ってリビング、個室と進む動線も要望として上がっていましたね。
グループホームで生活をしていく中で、職員はキッチンに立っている時間が一番長いんですね。
そのため、LDKみたいな共有部分を「ただいま」って帰ってきたときに通るように設計をしてくださいとお願いをしました。やっぱり誰が帰ってきて誰が外出してというのはこちらが把握できるように、見守れるようにそういう設計をお願いしました。
生活していくうえで人数が多い分家事も大変かと思います。そのあたりの動線の要望はありましたか。
今、本園の生活でも洗濯機は1つを中高生それぞれが自分で回しています。年齢がある程度上になると、触られたくないなっていう気持ちもあるかなっていう理由と自活訓練もかねてのことです。
今回のぐるーぷほーむ蒼生は、すでに言った通り年長さん1人、中学1年生1人、高校1年生1人、高校2年生2人なので、中学生以上がそれぞれ洗濯機を回すとなると、1日かなりの回数稼働することになります。一般家庭だと1回2回で済むのかなと思いますが。1日4~5回洗濯機をまわさなきゃいけないですね。
ただ、子どもたちも洗濯物を触ってほしくないという子はあまり多くないので、「(洗濯物を)干すのがめんどくさいから一緒にやって」とリクエストがあったりします。職員は洗濯を何人分やるんだろうなってところはありますね。

それから料理の面では、今本体施設は厨房があって調理員が作ってくれていますが、グループホームは自分たちでスーパーで買って作ってという毎日になります。僕もたまにグループホームの勤務になるんですが、本当に1日中キッチンに立っているくらいの気持ちです。
朝ごはん作り終わったら昼ごはん何にしようかなっていうのを考えて、昼ごはん終わったら買い出しに行って夜ごはん作ってみたいな感じなので、ごはん作りの合間に洗濯掃除をやっている感じです。
食べ盛りですもんね。
そうですね。特に今回建築したぐるーぷほーむ蒼生は男の子たちのグループホームにしたので、年齢層も考えて、食事の量は大変なことになるだろうなと思います。世の主婦の方々は素晴らしいって尊敬します。
施設の職員は20代半ばくらいの職員が多いので、若い子たちが自分が家でしてもらっていたような家事を自分の子どもを持つ前に子どもたちにしてあげるっていうところは、やっぱり慣れないことも多いだろうし大変に思うことも多いと思います。そういう中で、頑張ってくれているなと思っていますね。

リビングからでてすぐ庭がありますが、どんな風に使うことになりそうですか。
建物を建てる前更地になっているときから段差はあったんですが、僕は道路面と同じ高さに造成するのかなって思っていました。
なので、この段差ありきで設計していくことにびっくりしたんですが、ウッドデッキの提案をしてくださって、うまいことこちらの提案を聞いてくれながら形にしてくれたと思っています。
昨日グループホームに引っ越しをして、初めて子どもたちが中に入ったので「グループホームどうだった?何が1番良かった?」っていう話を振ってみたところ、庭があったっていう事を一番喜んでいました。
「庭が緑色だったよ」って。「まだラジコンを走らせていないからこれからやるんだ」っていう話をしていました。
家の中から外との境界の中間部分ではないですが、ああやってウッドデッキを下に回してもらって、小さくても庭を作っていただいてっていう中で、さっそく小さい子はあそこに目をつけて「あそこで遊びたい」って言ってくれているので、この形にして良かったと思っています。
小さい子は遊びの天才ですね。ラジコンも楽しそうです。
その子はクリスマスプレゼントでサンタさんからラジコンをもらって、この冬ずっと城山学園の園庭でぐるぐる走らせていたので、多分グループホームに移動してもやりたいのだろうと思います。
なるほど。楽しそうでいいですね!

では次に2階について教えてください。独立したお部屋が2つあって1階と利用用途が違うと聞いています。簡単に内容を教えてください。
2階の部屋を設計するときにあげた希望の1つに卒園生が泊まれる場所をつくりたいというものがありました。
もともと本園施設にはあるにはあるのですが、その場所はお家では泊まれないけど施設で場所を貸して親御さんとお子さんが1~2泊するようなワンルームの機能があるエリアです。
1部屋しかないので、その用途の隙間を縫って卒園生が遊びに来た時にたまたま空いていたら泊まれるよ、みたいなものなんですね。
ぐるーぷほーむ指路の方も、もともと職員宿舎として住み込み用のスペースがあったものを、今住み込みの職員がいないので親御さんとお子さんに使ってもらったり、卒園生が泊まったりということがあります。
その流れでぐるーぷほーむ蒼生の方でも宿泊機能は必要だろうと考えました。それで、設計の段階で、スペースを考えたら2つくらい部屋は取れそうという話でした。
グループホームを開くにあたって、地域に還元する機能も必要だろうということで、まだ具体的な話にはなっていないのですが、例えばイメージとして「今両親が入院しちゃって生活が大変になっている子どもがいるので預かってほしい」という話があったら、その子が一時的に宿泊できるようなスペースにならないかなっていう構想です。
子どもを見守るということだったら児童養護施設はやれるので、そういう形で地域に機能を還元するスペースを作りたいね、と当初は思って設計をしていただきました。
設計した段階から今運用しようという段階になってくると、卒園生を受け入れるための部屋っていうのをメインに考えていこうかという流れもあったりします。
ただ、あの土地は建物の建っていない余っている部分があるので、そこに卒園生を受け入れるのをメインにした建物を建てたらどうかっていう意見もあるので、グループホームの2階の用途に関しては柔軟に考えていきたいと思っています。


2つあるうちの1部屋は家族で使ってもらうという事も想定して、ちょっと広めにお部屋を作ってもらったりとか、もう1部屋は先ほど例にあげたように外からお子さんをお預かりしたときに宿直する職員の寝られるスペースを作ってもらったりとか。今のところ考えられる可能性のあることに対応できるような機能にはしてもらったと思います。
先ほど、卒園生が帰ってこられる部屋というのがありました。帰ってこられる場所が専用であるのはいいですね。
そうですね。グループホームを実家替わりにして、退所したり進学なり就職なりしたあとに盆暮れ正月みたいなときに帰ってこれる場所として機能すればいいなという風に思っています。

最後にぐるーぷほーむ蒼生で子どもたちとどんな生活をしていきたいですか?
そうですね。普通の生活を普通にできればいいなと思っています。普通の生活を重ねて安心を持ってもらえて、ゆくゆくはよりどころになってくれたらなと思います。
安心だなって思ってもらえるのが一番なのかなって思っていて、そういう日々を重ねていった先には、盆暮れ正月には帰ってきたくなるようなお家になっているといいですね。
そういう風に頼ってくれるようになるように我々もきちんと子どもたちと関わっていかなきゃいけないし、せっかくああいう風に作っていただいたお家を上手に使っていかなきゃいけないなと思います。
ありがとうございます。安心して過ごせる環境になってくれると嬉しいですね。
インタビューは終始、穏やかに進みました。
ご協力いただきました、城山学園の担当さん、本当にありがとうございました!
また、新築工事のご利用ありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。