家族団欒
column

コラム

【令和7年6月1日施行】「トイレ」にかかわる義務基準・誘導基準の改正|バリアフリー法

【令和7年6月1日施行】「トイレ」にかかわる義務基準・誘導基準の改正|バリアフリー法

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令が令和6年6月21日に公布されました。

今回はこの改正内容から、「便所に係る義務基準及び誘導基準の見直しについて」を国土交通省の資料をもとに紹介します。引用する資料は以下の資料です。

国土交通省 報道発表資料トイレ、駐車場及び劇場等の客席の新たなバリアフリー基準について~「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令の一部を改正する政令」を閣議決定~

(参考資料:便所、劇場等の客席、駐車場に係るバリアフリー基準の見直しについて 令和6年11月国土交通省住宅局参事官(建築企画担当)付

(参考資料:新旧対照表(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令)

(参考資料:新旧対照表(高齢者、障害者等が円滑に利用できるようにするために誘導すべき建築物特定施設の構造及び配置に関する基準を定める省令)


株式会社トライアングルでは、

バリアフリー・介護リフォームの専門家集団が
「朝起きてから寝るまで」を共に悩み、解決します 

バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。

「毎日のお出かけが億劫でなくなった!楽しく生活しています」というお声をいただけることが何よりの誇りです。

バリアフリー化の悩み介護リフォームの悩み、なんでもお声掛けくださいませ!


 

目次

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)改正の背景

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成18年法律第91号)第14条第1項の規定により、特別特定建築物について2,000㎡以上の建築をしようとするときは、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令(平成18年政令第379号)」において定められているバリアフリー基準(建築物移動等円滑化基準)に適合させなければならないとされています。

現在、「トイレ」、「駐車場」及び「劇場、観覧場、映画館若しくは演芸場又は集会場若しくは公会堂(以下「劇場等」という。)の客席」のバリアフリー化に対する社会的要請が高まっていることを踏まえ、これらのバリアフリー基準について、所要の見直しが行われました。

政令の概要

改正された内容は以下の通りです。

  1. トイレに係るバリアフリー基準の見直し
  2.  駐車場に係るバリアフリー基準の見直し
  3. 劇場等の客席に係るバリアフリー基準の創設

1. トイレに係るバリアフリー基準の見直し
現在、建築物に1か所以上の設置を求めている「車いす使用者用トイレ」について、基準を見直し、原則、建築物の階ごと(各階)に1か所以上(※)の設置が必要になりました。
(※)床面積が1,000㎡未満の階、10,000㎡超の階の基準等は別途告示で規定

2. 駐車場に係るバリアフリー基準の見直し
現在、建築物に1か所以上の設置を求めている「車いす使用者用駐車施設」について、基準を見直し、原則、駐車施設の数に応じ、一定数以上(※)の設置を求めることになりました。
 (※)駐車施設の数が200 以下の場合:当該駐車施設の数の2%以上
駐車施設の数が200 超え の場合:駐車施設の数の1%+2以上

3. 劇場等の客席に係るバリアフリー基準の創設
劇場等において、座席数に応じ、一定数以上(※)の「車いす使用者用スペース」の設置を求めるこになりました。
 (※)座席数が400 以下の場合:2以上
座席数が400 超 の場合:当該座席数の0.5%以上

義務基準と誘導基準の違い

義務基準とは、高齢者や障害者が円滑に利用するために守るべき「最低限の基準」で、必ず適合させなければならない義務となっている基準のことです。

一方、誘導基準とは、高齢者や障害者が円滑に利用するために守ることが「望ましい」基準となっており、必ずしもしなくてもいい基準となります。

義務基準よりも誘導基準の方が厳しい内容になっており、適合させると容積率の緩和を受けられたり、補助金がもらえたりなどのメリットがあります。

便所に係る義務基準及び誘導基準の見直し 義務基準

【義務基準】便所の設置基準について(政令第14条第1項)

【義務基準】便所の設置基準について(政令第14条第1項)

  • 不特定多数の者等が利用する便所(トイレ)は、原則、不特定多数の者等が利用する階以上を設ける
  • その設置にあったっては、管理運営方法などを勘案し、その利用に支障が生じない位置に設ける

改正前は「建築物に1か所以上に設ける」でしたので、大幅に設置義務箇所が増えたことになります。

Check

「不特定多数の者等」とは

  • 不特定かつ多数の者、または主として高齢者、障がい者等を指す
  • 従業員のみが利用する階(バックヤードのみの階)などは、特定の者が利用する階であるため、「不特定多数の者等が利用する階」には該当しない


Check

「利用に支障が生じない位置」とは

  • 特定の階に偏ることなく設けることにより、利用上の支障は生じにくい

(例えば、特定の階に必要設置数のすべの便所(トイレ)を設ける等の場合は、利用上の支障が生じる場合がある)

Check

「不特定多数利用便所」とは

  • 不特定多数の者が利用し、または主として高齢者、障がい者等が利用する便所のこと

Check

「便所設置階」とは

  • 不特定多数利用便所を設ける階のこと

【義務基準】不特定多数の者等が利用する階から除外する階(政令第14条第1項)

以下の階は「不特定多数の者が利用する階」から除外する。

  1. 地上階で、便所(トイレ)を設ける施設が同一敷地内かつ、その階の出入り口付近(近接)にある階(ケース1)
  2. 「不特定多数の者等」が利用する部分の床面積が著しく小さい階(ケース2:ほとんどが従業員専用階 等)
  3. 「不特定多数の者等」が滞在する時間が短い階(ケース3:ATM・駐車場のみ 等)
  4.  2.3.のほか、管理運営上やむを得ない階(下記で説明)

【義務基準】不特定多数の者等が利用する階から除外する階(政令第14条第1項)

赤枠…「不特定多数の者等が利用する階」の数から除外する階

Check

「管理運営上やむを得ない階」の例

  • 商業施設の1階部分で施設の管理運営上、設置困難の階
  • ホテル・旅館で、客室内に便所が設置されている客室のみが存する階 など


株式会社トライアングルでは、

バリアフリー・介護リフォームの専門家集団が
「朝起きてから寝るまで」を共に悩み、解決します 

バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。

「毎日のお出かけが億劫でなくなった!楽しく生活しています」というお声をいただけることが何よりの誇りです。

バリアフリー化の悩み介護リフォームの悩み、なんでもお声掛けくださいませ!


 

便所の箇所数の数え方について(政令第14条第1項、省令第9条第1項)

各便所の設置階における便所(トイレ)の箇所数は以下の通りです。

  1. 男子用および女子用の区別を設け、その両方が設置される場合、男子用と女子用の1組で1か所とする(ケース1)
  2. 男子用および女子用の区別を設け、そのいずれか一方のみが設置される場合、当該便所(トイレ)ごとに1か所とする(ケース)
  3. 男子用および女子用の区別を設けず、共用便所(トイレ)として設置される場合、当該便所(トイレ)ごとに1か所とする(ケース2)

便所の箇所数の数え方について(政令第14条第1項、省令第9条第1項)

Check

同一階で男子用と女子用が離れて設置される場合

  • 同一階で男子用と女子用が離れて設置されていても、男子用と女子用の1組で1か所とする


Check

男子用または女子用の便所(トイレ)を設ける場合

  • 男女1組に加え、男子用または女子用の便所を設ける場合は2か所とする(ケース2)
  • 同一階に男子用または女子用のいずれか一方のみを複数設ける場合は。当該便所(トイレ)ごとに1か所とする(例:男子用トイレが同じ階に離れて2つ設置されている場合、2か所と数える)(ケース2)

【義務基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(政令第14条第2項)

車いす使用者用便房(トイレ)は、原則、「不特定多数の者等が利用する便所を設ける階ごとに1か所以上」を設ける。

ただし、以下の場合を除く。

  1. 地上階で車いす使用者用便房(トイレ)を設ける施設が同一敷地内かつその階の出入口付近にある場合
  2. 当該階に設けるべき車いす使用者用便房(トイレ)を別の階に設ける場合
  3. 「不特定多数の者が利用する部分の床面積が1,000㎡未満の階(小規模階)を有する場合
  4. 「不特定多数の者が利用する部分の床面積が10,000㎡超えの階(大規模階)を有する場合

【義務基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(政令第14条第2項)

↑ケース2の便所のない階→不特定多数の者が利用する階から除外する階

Check

車いす使用者用便房(トイレ)について男女の区別を設ける場合

  • 男子用、女子用をそれぞれ1か所以上を設けることが必要
  • ただし、男子用(または女子用)の便所のみが設置されている階においては、男子用(または女子用)の車いす使用者用便房(トイレ)のみの設置で足りる

階の分類 車いす使用者便房の必要設置数
不特定多数の者等が利用する部分の床面積が
1,000㎡未満の階
小規模階(後述で詳しく説明)
各階への車いす使用者用便房の設置は求めず、それらの階の不特定多数の者等が利用する部分の
床面積の合計が1,000㎡に達するごとに1以上設置。※1
不特定多数の者等が利用する部分の床面積が
10,000~40,000㎡の階
大規模階(後述で詳しく説明)
2以上※2
不特定多数の者等が利用する部分の床面積が
40,000㎡を超える階
大規模階(後述で詳しく説明)
20,000㎡ごとに1か所追加する(端数は切り上げ)

※1 小規模階における便所設置階の数を上限とする。
※2 当該階に設ける不特定多数利用便所の数を上限とする。

【義務基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(小規模階)

不特定多数の者等が利用する部分の床面積が1,000㎡未満の階(小規模階)を有する場合、小規模階の床面積の合計が1,000㎡に達するごとに1か所以上設ける。

なお、小規模階における便所(トイレ)設置階の数が、面積から算定した箇所より少ない場合、便所設置階の数とする。

Check

車いす使用者用便房(トイレ)の設置位置

  • 建築条件に応じた設計の自由度を確保するため、設置位置は任意

【義務基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(大規模階)

不特定多数の者等が利用する部分の床面積が10,000㎡超の階(大規模階)を有する場合

  1.  10,000~40,000㎡ 2か所以上
  2.  40,000㎡超 20,000㎡ごとに1か所追加する

なお、当該階に設ける不特定多数の者等が利用する便所(トイレ)の箇所数が面積から算定した箇所より少ない場合、当該便所の箇所数とする。

義務基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(大規模階)

【義務基準】小規模階・大規模階が混在する場合の車椅子使用者用便房の設置イメージ

【義務基準】小規模階・大規模階が混在する場合の車椅子使用者用便房の設置イメージ

【義務基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(複数棟が立地する場合)

同一敷地内に複数等の建築物が立地する場合、車いす使用者用便房(トイレ)の必要設置数の算定に当たっては、これらをまとめて一の建築物として取り扱う。

同一敷地内に床面積が1,000㎡に満たない小規模階を有する建築物が複数棟立地する場合は、全ての建築物の小規模階の床面積の合計をもとに小規模階における車いす使用者用便房の必要数を算出する。

【義務基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(複数棟が立地する場合)

※当該階に設ける不特定多数の者等が利用する便所の箇所数が面積から算定した箇所数より少ない場合は、当該便所の箇所数とする。

【義務基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(複合用途の場合)

複数用途の建築物に設ける「不特定多数の者等が使用する便所」については、原則、各用途ごとに必要設置数を満たす必要がある。(ケース2)

ただし、利用する用途に関わらず当該便所(トイレ)を常時利用できるような施設運用を行う場合には、便所は各用途ごとではなく共用して設置することができる。(ケース1)


株式会社トライアングルでは、

バリアフリー・介護リフォームの専門家集団が
「朝起きてから寝るまで」を共に悩み、解決します 

バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。

「毎日のお出かけが億劫でなくなった!楽しく生活しています」というお声をいただけることが何よりの誇りです。

バリアフリー化の悩み介護リフォームの悩み、なんでもお声掛けくださいませ!


 

【義務基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(ツインタワーの場合)

渡り廊下で連結している建築物の場合、渡り廊下で連結されているフロアについては、当該フロア全体の床面積に応じて車いす使用者用便房の必要設置数を算定する。

渡り廊下で連結されていないフロアは、それぞれのフロアの床面積に応じて車いす使用者用便房の設置数を算定する。

【義務基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(ツインタワーの場合)

車椅子使用者用便房の設置基準について(政令第14条第2項、省令第9条第1項)

車いす使用者便房とは、車いす使用者が円滑に利用することが出来るものとして、国土交通大臣が定める以下の構造の便房をいう。

  • 腰掛便座、手すり等が適切に配置されていること
  • 車いす使用者が円滑に利用できるよう十分な空間が確保されていること

政令19条の移動等円滑化経路に定めるとおり、以下の基準が適用される。

  • 出入口の幅が80㎝以上であること
  • 出入口の戸が自動的に開閉する構造その他車いす使用者が容易に開閉して通過できる構造であること
  • 出入口の前後に高低差がないこと

車いす利用想定のトイレに必要な要素は以下で詳しく説明しています。寸法等紹介しているのでご興味のある方はぜひご覧ください。

【義務基準】オストメイト用設備等を有する便房について(政令第14条第3項及び第4項)

便所のうち1か所以上には、オストメイト用設備(高齢者、障がい者等が円滑に利用することができる構造の水栓器具)を設けた便房を1か所以上設ける。

男子用小便器のある便所を設ける場合、床置式小便器等を1か所以上設ける。

【義務基準】オストメイト用設備等を有する便房について(政令第14条第3項及び第4項)

【義務基準】増築等に関する規定の適用範囲について(政令第23条)

増築等をする場合には、以下の規定が適用されます。

  1. 不特定多数の者等が利用する便所は、増築等に関わる部分を有する階の数以上を設ける。
  2. 当該階の車いす使用者便房の必要設置数は、増築等に関わる部分の面積および不特定多数の者等が利用する便所(既存の者を含む)の箇所数をもとに算定する。
  3. 既存の便所・車いす使用便房がある場合、既存のものの数と新設するものの数を合算して必要設置数を満たせばよいこととする。

【義務基準】増築等に関する規定の適用範囲について(政令第23条)

【義務基準】増築等に関する規定の適用範囲について(政令第23条)

【義務基準】増築等に関する規定の適用範囲について(政令第23条)

確認申請の際に明示すべき事項及び留意点(建築基準法施行規則第1条の3)

確認申請の際に明示すべき事項及び留意点(建築基準法施行規則第1条の3)


株式会社トライアングルでは、

バリアフリー・介護リフォームの専門家集団が
「朝起きてから寝るまで」を共に悩み、解決します 

バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。

「毎日のお出かけが億劫でなくなった!楽しく生活しています」というお声をいただけることが何よりの誇りです。

バリアフリー化の悩み介護リフォームの悩み、なんでもお声掛けくださいませ!


 

便所に係る義務基準及び誘導基準の見直し 誘導基準

【誘導基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(省令第9条第1項)

車いす使用者便房は、多数の者が利用する便所内または、当該便所に近接する位置に1か所以上設ける。

【誘導基準】車椅子使用者用便房の設置基準について(省令第9条第1項)

Check

便所の数え方

  • 同一階で男子用と女子用が離れて設置されていても男子用と女子用の1組で1か所とする

Check

車いす使用者便房について男女の区別を設ける場合

  • 男子用、女子用それぞれに1か所以上を設けることが必要
  • ただし、男子用(または女子用)のみの便所が必要とされている階においては、男子用(または女子用)のみの車いす使用者用便房とすることができる

【誘導基準】オストメイト用設備等を有する便房について(省令第9条第2項)

多数の者が利用する便所が設けられている階においては、便所のうち1か所以上に、オストメイト用設備を(高齢者、障がい者等が円滑に利用することができる構造の水栓器具)を設けた便房を1か所以上設ける。(ケース1)

男子用小便器のある便所が設けられている階においては、便所のうち1か所以上に、床置式小便器等を1か所以上設ける。

【誘導基準】オストメイト用設備等を有する便房について(省令第9条第2項)

【誘導基準】増築等又は修繕等に関する規定の適用範囲について(省令第17条)

増築等または修繕等をする場合には、以下の規定が適用される。

  • 増築等または修繕等に関わる部分に、多数の者が利用する場所を設ける場合、当該便所内または当該便所に近接する位置に、車いす使用者用便房を1か所以上設ける。
  • 増築等または修繕等に関わる部分に、多数の者が利用する場所を設けない場合、車いす使用者用便房を建築物全体で1か所以上設ける。

【誘導基準】増築等又は修繕等に関する規定の適用範囲について(省令第17条)

【誘導基準】増築等又は修繕等に関する規定の適用範囲について(省令第17条)


株式会社トライアングルでは、

バリアフリー・介護リフォームの専門家集団が
「朝起きてから寝るまで」を共に悩み、解決します 

バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。

「毎日のお出かけが億劫でなくなった!楽しく生活しています」というお声をいただけることが何よりの誇りです。

バリアフリー化の悩み介護リフォームの悩み、なんでもお声掛けくださいませ!

その他コラム一覧

          コラム一覧へ