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コラム

車いす対応トイレリフォームの11の工夫|バリアフリーで自立支援と安全性アップ!

車いす対応トイレリフォームの11の工夫|バリアフリーで自立支援と安全性アップ!

年齢を重ねたり、病気やけがの影響で車いすを使うようになると「今のトイレでは使いづらい」と感じる場面が増えてきます。

トイレは毎日何度も使う大切な場所です。安全に、そしてできるだけ自分で使えるようにしておくことが、暮らしの安全につながります。

この記事では、車いすを利用する方のためのトイレのバリアフリーリフォームで押さえておきたい11の工夫をご紹介します。

ご本人はもちろん、介助される方にもやさしいアイデアが詰まっています。ぜひ参考にしてください。


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目次

「トイレ」のバリアフリーリフォーム

トイレは、一日の中で何度も使う場所です。

しかし、一般的な住宅のトイレは狭く、立ち座りや移動といった動作も多いため、使いやすさや安全性がとても重要になります。

設置する場所や空間の広さ、手すりなどの動作補助、換気の工夫など、トイレはコンパクトな空間ながらも注意すべきポイントがたくさんあります。

リフォームを計画する際は、使う方の身体状況に合わせて、以下の点をチェックすることが大切です。

  • 移動や立ち座りに不安はないか

  • 座った姿勢を安定して保てるか

  • 手の動きに不自由はないか

これらを踏まえて、より安全で快適に使えるトイレづくりを目指しましょう。
ここからは、具体的なリフォームの工夫をご紹介していきます。


参考:各自治体から発表が出ている「福祉のまちづくり条例」など

福祉のまちづくり条例(横浜市)

川崎市福祉のまちづくり条例(川崎市)

1. 夜中でも安心!寝室のすぐそばにトイレをつくる工夫

トイレリフォームを考える際、まず整えたいのが「トイレまでの動線」です。
特に夜間、暗がりの中で移動すると、家具にぶつかったり、車いすの車輪が物に引っかかったりして転倒するリスクもあります。

そのため、寝室からトイレまでの移動距離をできるだけ短くすることが、安全性と自立支援の第一歩です。
実際に、寝室のすぐ隣にトイレを新設し、自分でトイレに行けるようになったというケースもあります。手すりを使って歩ける方なら、より効果的です。

近年は高性能な換気設備も普及しており、トイレが寝室と隣接していても臭いが気にならない設計が可能になりました。
そのため、「寝室をトイレに近い部屋にする」「寝室の中にトイレをつくる」といった選択も現実的になってきています。

夜間の移動を安全に、そして排泄の自立を支えるために、動線の見直しから始めてみましょう。

寝室の押入れをトイレにした施工事例

元は寝室の押入れだった場所にトイレを新設した事例です。身体能力の低下が原因で、階段の昇降に危険が伴うようになったため、生活の拠点を2階から1階に移そうと考えていらっしゃった方が今回のご利用者様です。

ベッドの近くにトイレを新設することで、自力での移動を楽にし、介助の負担を減らすことができました。

【C.32】寝室の押し入れ→トイレに改装|寝室〜トイレの距離を短縮に成功|福祉建築

2. 車いすがくるっと回れる広さをしっかり確保

車いす使用トイレ必要スペース

 

車いす使用トイレ方向転換の様子

車いすでトイレを利用する場合、まず必要になるのは十分な広さの確保です。

出入りができるだけでなく、トイレ内で向きを変える「転回スペース」も必要になります。


【参考】車いすを使用する場合の通路幅の目安(国土交通省 基本寸法より抜粋)

寸法 意味
80cm 車いすで通過できる寸法
90cm 車いすで通過しやすい寸法
通路を車いすで通行できる寸法
120cm 通路を車椅子で通行しやすい寸法
人が横向きになれば車椅子使用者とすれ違える寸法
杖使用者が円滑に通過できる寸法
140cm 車椅子使用者が転回(180度方向転換)できる寸法
杖使用者が円滑に上下できる階段幅の寸法
150cm 車椅子使用者が回転できる寸法
人と車椅子使用者がすれ違える寸法
180cm 車椅子使用者が回転しやすい寸法
車椅子使用者同士がすれ違える寸法

移乗方法によって変わる必要スペース

車いすから便器に移る方法(移乗)は、利用者の身体状況によって異なります。

  • 正面アプローチ
  • 斜め前方アプローチ
  • 直角アプローチ
  • 側方アプローチ

 

トイレ正面アプローチ

トイレ斜め前方アプローチ

トイレ直角アプローチ
トイレ側方アプローチ

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

これらの動作に応じて、便器の位置や空間の広さ、手すりの位置も変わるため、リフォーム前に現在の移乗動作を確認することがとても重要です。

■空間が足りない場合のリフォーム例

一般的な住宅のトイレは、車いすの使用を想定していないケースが多く、スペースが不足しがちです。

そのため、バリアフリーリフォームでは以下のような方法が良く採用されます。

  • 既存のトイレの壁を取り壊し、空間を広げる
  • あまり使っていない部屋を、広めのトイレとして改修する

既にあるトイレの壁を壊し、広く空間をとった施工事例

車いす利用のため、トイレを広くしたいとお客様のご要望がありました。元あったトイレの個室と隣接する脱衣室の壁を壊し、一つの部屋とすることで、広さを確保した施工事例です。

換気設備は十分に作動するほか、暖房設備も完備して、トイレ・お風呂などヒートショックの起きやすい場所のケアもしています。

【C.10】トイレと脱衣室をバリアフリーにする|トイレと脱衣室の場所を広く確保する|福祉建築

使用頻度の少ない部屋をトイレに改修した施工事例

定年退職をして、使用頻度の少なくなった書斎を改修し、トイレを新設した事例です。

既存のトイレを広くするよりも、介助スペースや車いすの移動の切り替えをするスペースが容易に確保でき、予算も抑えることができました。

また、もともとあったトイレは家族用に残すことで、トイレの混雑を防いでいます。

【C.7】トイレの新設|使用しなくなった部屋をトイレに改装。必要な広さを確保|福祉建築


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3. 立ち座りもラクに!使う人に合わせた手すりの設置

〈自立〉車いす使用者のトイレの行動フロー


自立車いす使用者行動フロー

〈要介護〉車いす使用者のトイレの行動フロー


要介護車いす使用者行動フロー

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いすユーザーがトイレを安全に使うためには、その人の動作や身体状況に合わせた手すりの設置が不可欠です。

特に便座の移乗の動作では、立ち上がる・座る・体重を移すなど複雑な動作が必要になります。こうした動作を補助するために、手すりは非常に重要な役割を果たします。

手すりの主な役割は以下の3つです。

  • 立ち座りの補助
  • 姿勢の保持(座位保持)
  • 移乗時の安全確保

便座⇔車いすの移乗動作の際、どの角度から車いすを近づけ、どこに手をついて力を入れて移乗するかをよく確認しておきます。

■手すりの種類と設置位置のポイント

利用者の動作に合わせて、手すりの種類や位置を選びます。以下が代表的な設置例です。

◇壁側:L字型手すり(固定)

便座の横にある壁面に取り付け、立ち座りの補助の役割を担います。
移乗の際に身体を支える支点として重要な手すりです。設置の際は、頭と壁がぶつからないように配慮します。

◇便座前・手前:跳ね上げ式(可動式)手すり

移乗時や介助の妨げにならないよう、使用時以外は跳ね上げて避けられるタイプが便利です。ロック機能付のものを選ぶと、安定性も確保できます。

■移乗方法別:手すりの必要な位置と動線(参考)

身体状況によって、車いすから便座への移乗方法は異なります。ここでは、代表的な4つのアプローチ方法と、手すり設置のポイントを紹介します。

正面アプローチ(立位移乗)


車いす使用正面アプローチ想定図

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いすを便座の正面につけ、手すりを使って便器に移乗します。

斜め前方アプローチ(立位移乗)


車いす使用斜め前方アプローチ想定図

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

便器に対して斜め前方に車いすをアプローチして、手すりを使って立ち上がり、便器に移乗します。

直角アプローチ(立位移乗)


車いす使用直角アプローチ想定図

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

便器に対して、ほぼ直角にアプローチして、便器と車いすが接するように車いすをつけます。車いすのひじ掛けや手すりをもって腰をスライドさせて、車いすから便器に移乗します。

壁側の手すりは前出の大きいものを選び、移乗するときに頭と壁が接触しないように手すりと壁のスペースを確保します。

側方アプローチ(立位移乗)


車いす使用側方アプローチ想定図

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

便器の側方に便器と車いすをつけ、車いすや手すり、便器に手をついて、腰をスライドさせて車いすから便器に移乗します。

介助者が要る場合の一例


車いす使用要介助アプローチ想定図

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いす使用要介助アプローチ想定図2

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いすを便器の前方や側方につけます。非介助者に手すりを支えにして一時的に立ってもらい、介助者が非介助者を脱衣させます。
その後、介助者が非介助者を正面から抱きかかえ、便器に移乗させます。
介助者のためのスペースが必要なため、手前側の手すりは跳ね上げ式(可動式)のものが便利です。

■座位保持に役立つ設備と配置の工夫(参考)

トイレを使用する際「姿勢を安定させる」ことを目的に手すりを設置することも、少なくありません。
特に、上半身の保持が難しい方や、長時間座る方の場合、姿勢が崩れたり、前傾・後傾したりすることで、転倒やケガのリスクが高まります。
これを防止するためには、手すり背もたれの併用が効果的です。

◇遮断式手すりで前方への倒れ込みを防止


トイレ座位保持
(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)
TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

遮断式手すり
バリアフリーリフォームのマニュアル2021
(https://saas.actibookone.com/content/detail?param=eyJjb250ZW50TnVtIjoiMjYzOSJ9&detailFlg=0&pNo=1)
マツ六株式会社より引用

便座の前方に設置する「遮断式手すり」は、座っている際に前方に倒れこむのを防ぐ役割をします。

また、遮断式手すりに寄りかかって前傾の姿勢になることで、いきんだり、踏ん張ったりすることができます。

遮断式手すりは、不要な時は開閉できるため、便器への移乗や介助者の妨げになりません。

◇背もたれを設けて、身体をしっかり支える


TOTO背もたれ

背もたれ(ハードタイプ)
【TOTO EWC285CS】

便座に背もたれを設置することで、姿勢が安定しやすくなり、疲れにくい姿勢を保つことができます。
また、背もたれを設置することで、「頭が後ろの壁にぶつかるのを防ぐ」「介助者が後ろから支える必要が減り、介助者の負担を軽減する」効果も期待できます。

手すりや背もたれといった設備は、動作を補助するだけでなく、安心して座るための環境づくりにもかかせません。
身体をしっかり支えるレイアウトによって、転倒リスクの軽減だけでなく、トイレを使う事への不安感も和らげることができます。

【番外】介助を楽にする介護リフトの施工事例

グループホームのトイレに介護リフトを設置しました。非介助者を移乗させる際に、介助者が非介助者を持ち上げるシーンがあります。この動作を楽にするために、設置を決めました。
機械の力を借りることによって、女性の力でもトイレの介助がしやすくなりました。

【C.8】グループホーム新設|マンション2部屋を全面バリアフリーにする|福祉建築


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バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。

「毎日のお出かけが億劫でなくなった!楽しく生活しています」というお声をいただけることが何よりの誇りです。

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4. トイレの使い勝手を高める3つの便利ポイント

トイレ内での動作を少なくしたり、操作を楽にしたりすることも、立派な「バリアフリーリフォーム」です。
近年はトイレ自体の機能も進化しており、身体状況に合わせて、選べる便利な設備がたくさんあります。ここでは特にチェックしておきたい3つのポイントをご紹介します。

【1】あると嬉しい!操作を助ける機能

ウォシュレット

画像 TOTO ウォシュレット®️アプリコット(https://jp.toto.com/products/toilet/apricot/)

オート機能
画像 TOTO ネオレスト(https://jp.toto.com/products/toilet/neorest/)

トイレフタなし
(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)
TOTO株式会社
バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

洗浄ボタン
TOTO リモコンの便器洗浄ユニットHE38
TOTO住宅&パブリックカタログ 2024より抜粋(https://www.catalabo.org/catalog/detail/79130910000)

洗浄ボタン2
TOTO リモコンTCM1248-1

機能 説明
ウォシュレット(温水洗浄) 手が届きにくい、動かしづらい方でも清潔を保てます。
乾燥機能付ならさらに便利です。
人感センサー付きトイレフタ 近づくだけで自動開閉します。
しゃがんで開け閉めする動作が不要になります。
トイレのふたに非接触のため、衛生的です。
洗浄ボタン/リモコン操作 レバーを回す必要がなく、軽い力で操作が可能です。
振り向く動作が必要なくなり、座ったまま無理のない姿勢で洗浄できます。

※人感センサー付の便器のフタは、掃除中に勝手に閉まる、故障時に修理費が高いなどの注意点もあるため、必要性を見極めてからの導入をおすすめします。

また、あえて「フタなし」タイプを選ぶことで、車いす⇔便器の移乗がスムーズになるケースがあります。

【2】身体に合わせた便器の形と高さ

車いす使用を想定したトイレのバリアフリーリフォームでは、便器そのものの形状高さも非常に重要なポイントです。

見た目や清掃性だけでなく、「移乗のしやすさ」「介助のしやすさ」「足元の安定性」といった実用面から選定していきます。

主に4つの視点からチェックすると機能的に満足いくものが選べるかと思います。

  • 便器の高さを調整する
  • 車いすが近づきやすい便器の形
  • 介助がしやすい便器の形
  • 掃除しやすい形状を選ぶ

以下で詳しく説明していきます。

◇便器の高さを調整する


車いす対応便器

TOTO 車いす対応便器C480AN 画像はTOTO住宅&パブリックカタログ 2024(https://www.catalabo.org/catalog/detail/81298310000)より抜粋

車いす使用側方アプローチ想定図

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

車いすから便器へ移乗する際、座面の高さが近い方が、スムーズに身体をスライド移動させることができます。

車いすの座面はおおよそ450mm前後が多く、それに合わせて便器も通常(420mm)より約30mm高い450mm前後のものを選ぶと、移乗しやすくなります。

各メーカーで車いす用の高座面のトイレがラインナップされているので、ぜひチェックすることをおすすめします。

ただし、体格によっては、便座が高くなることで、足が床につかず不安定になる場合があるため、高さは慎重に検討する必要があります。

また、公共施設など不特定多数が使うトイレでは、標準的な便器(420mm程度)の方が適している場合があります。

◇車いすが近づきやすい便器の形


足元に余裕があるトイレ

車いすでの移乗を考えた際場合、便器の足元部分に空間があるデザインを選ぶと便利です。

特におすすめなのが、「壁掛式便器」などの、床の設置部分が少ないタイプです。

便器の下に空間があることで、車いすのフットレストや足元が当たりにくく、便器にしっかり近づくことができます。方向転換や前進・後退の動作もスムーズになるでしょう。

◇介助がしやすい便器の形


足元に余裕があるトイレ

タンクの低いトイレ

介助者がトイレの介助をする場合、便器にどれだけ近づけるかが介助のしやすさを左右します。

先述した壁掛式便器はこの点でも優秀で、便器の下に足が入ることによって、介助者が前傾姿勢にならずに便器に近づくことができ、腰や方に負担をかけずにサポートができます。

床置きタイプでも、前方・側方のスペースが広く確保されている設計の製品であれば、介助がしやすくなります。便器周辺にゆとりを持たせたレイアウトも合わせて検討しましょう。

また、トイレのタンクが低いと介助者の体が後ろに入り込めるので、腰を入れた介助姿勢が取れ、立ち座り時にしっかりと体を支えることができます。

◇掃除しやすい形状を選ぶ


掃除がしやすい便器

画像はTOTO ピュアレストEXアプリコット より抜粋

身体状況に関わらず、トイレを清潔に保つことは大切です。

最近は各メーカーから、汚れがたまりにくく掃除のしやすい便器が多数登場しています。代表的なものは以下の通りです。

  • フチなし設計
  • 汚れが付きにくいコーティング加工
  • 凹凸が少ない製品

また、便器詰まりの不安がある場合は「掃除口付きの便器」を選ぶのもおすすめです。

万が一の詰まりの際にすぐに対応でき、メンテナンス性が向上します。

【3】オストメイト対応設備の導入

施工事例:オストメイト設置

人工肛門人口膀胱を使用している方の場合、排泄物の処理や洗浄ができる「オストメイト対応設備」の情報が必要になります。

専用の流し台やシャワー水栓、汚物流しなどが備わった装備で、自立した日常生活を支える大切な機能です。

家庭内に設置する場合は、使いやすい高さや広さ、プライバシーへの配慮も重要になります。

利用者の身体状況や使い方に合わせて、設置場所や設備内容を事前にしっかり検討しましょう。

車いすトイレとオストメイト設置の施工事例

車いすを使用して生活するご利用者様の施工事例です。

使用頻度の少なくなった部屋をトイレに改装して、車いすでも快適に使える広い空間を確保しています。個室内には、トイレとオストメイト、車いす用洗面台を設置しました。

【C.7】トイレの新設|使用しなくなった部屋をトイレに改装。必要な広さを確保|福祉建築


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バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。

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5. 出入りがスムーズになるのは「引き戸」

施工事例:シャワーユニットの隣のトイレとオストメイト

トイレの出入口に使用するドアは、動作のしやすさや安全性に直結する大切な要素です。

特に車いすを利用する場合は、「引き戸(スライドドア)」を選ぶことで、移動の負担を大きく軽減できます。

引き戸が優れている理由

開き戸は、ドアを開閉するたびに、身体を前後に大きく動かす必要があり、車いす利用者や、足腰が不安定な方には負担になります。
一方で引き戸なら、少ない力で片手でもスムーズに開閉でき、車いすに乗ったままでも出入りがしやすいです。

引き戸を選ぶ際の注意点

引き戸を設置する際には次の点に注意しましょう。

  • 車いすが通れる間口(出入り口の幅)を確保できること
  • 扉を引き込むスペースがきちんととれること
  • 万が一の事故や体調不良を想定する場合は、外からでも鍵を解除できる仕様にすること

間口の目安としては、有効開口が80~90cm以上あると安心です。
引き戸のタイプによってもスペースの使い方が異なるので、各メーカーの仕様をよく確認することをおすすめします。

引き戸を設置するのに扉を引き込むスペースがとれない場合は、引き戸と開き戸のいいとこどりをしたタイプなどがあります。

また、トイレの使用中に倒れてしまった場合でも家族がすぐに対応できるように、鍵を外から解除できる仕様にしておくと、万が一の時に安心です。


引き戸と開き戸のいいとこどりをしたタイプ 参考(DAIKEN リフォームマガジンより引用)

6. 掃除しやすくてすべりにくい床材を選ぶ

便器や手すりに比べて注目されにくい「床材」ですが、トイレの安全性と快適性を左右する重要な要素です。

特に車いす使用を想定する場合、転倒リスクの軽減、清掃性、耐久性といった視点から、適切な床材を選ぶことが欠かせません。

滑りにくさを重視する

多機能トイレ

トイレの床材選びでまず優先したいのが「滑りにくさ」です。
水や尿で床が濡れることがあるトイレは、転倒リスクが高い場所になります。特に車いす使用者にとっては、滑りやすい床が重大な事故につながる恐れがあります。

実際に令和2年度改定の「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」には、「床の滑り」に関する評価指標、評価方法が記載されています。

これはバリアフリー設計において、「滑りにくい床材の採用」が重要な基準であることを示しています。
※該当する項目は「建築設計標準(令和2年度改正版) 第2部 高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準 第3章 基本寸法等 3.9 床の滑り (ページ番号  2-301)

一見、車いすは滑りやすい床の方が操作しやすそうに思えますが、実際は滑りすぎるとスピード調整や方向転換が難しくなるため、操作が安定しません。

操作性を考えると、段差がない(フラットで凹凸がない)かつ滑りにくい床材が理想的です。

耐久性を重視する

トイレ床イメージ

TOLI 消臭NSトワレNWから抜粋(https://www.toli.co.jp/digital_catalog/ns_okunai3/index.html#page4)

トイレは毎日使う場所です。重量のある車いすが頻繁に通過する場合は、特に耐久性が求められます。

トイレに採用される代表的な床材は以下の通りです。

床材の種類 特徴
CF(クッションフロア) クッション性があり、万が一の転倒時も衝撃を和らげてくれます。
ただし車いすの重みに弱く、へこみやすいです。
長尺シート 耐久性・防水性に優れ、清掃も容易です。車いす使用でも耐久性は十分です。
塩ビタイル 高強度で耐久性が高いのが特徴です。
硬さがあるために、転倒時の衝撃は注意が必要です。
フローリング 加工によっては使用可能ですが、基本的に「木」は水や薬剤に弱く、車いす使用者に不向きなケースが多いです。

車いす利用を想定するなら、「長尺シート」や「塩ビタイル」を選ぶ人が多い印象です。
ただし、どちらも固めの素材なので、転倒時の衝撃の吸収は限定的です。使用者の状況に応じてバランスをとって選ぶことが必要です。

清掃性を重視する

トイレ床イメージ2

TOLI 消臭NSトワレNWから抜粋(https://www.toli.co.jp/digital_catalog/ns_okunai3/index.html#page4)

トイレの床は水や尿洗剤がかかりやすく、汚れ・におい・カビも発生リスクが高い場所です。だからこそ、清掃しやすい床材を選ぶことが快適さにつながります。

チェックしたいポイントは以下になります。

  • 水、尿(アンモニア)に強いこと
  • 凹凸・溝・継ぎ目が少なく、サッと拭けること
  • 防臭・防カビ性能があること
  • 長く使えること(耐用年数の目安:10年)

トイレの床のリフォームの際には、床の上から新しい床材を貼る「上張り」施工が選ばれることがありますが、車いす使用を想定する場合は、床材の厚み分入口に段差ができる可能性があるため注意が必要です。施工前に入口に段差ができないことを業者によく確認してください。

また、床材の交換時期についても考えておきましょう。

丁寧に清掃・手入れをして保っていても、使っていけば劣化もするので張替をする時期があります。床だけの交換はしにくいので、トイレの便器の交換と一緒にリフォームするのが理想的です。

便器の交換目安が10年程になるので、床材もそれに合わせられるように耐用年数をチェックしておくと、リフォーム時期の検討と計画が簡単になります。

7. 夜のトイレも安心!人感センサー付きの明かり

夜間のトイレ使用は、暗がりでの移動やスイッチ操作による転倒リスクや不安感がつきものです。

そんな時に便利なのが、人感センサー付きの照明です。

人が近づくと自動で点灯するため、手を伸ばしてスイッチを探す必要が無く、安全かつスムーズにトイレを使うことができます。

人感センサー照明を選ぶ時の3つのチェックポイント

チェック項目 内容
反応制度 小さな動きでも検知できるかどうかが重要です。
便座に座って動きが止まると消灯してしまうことがあるため、5cm程度の動きでも感知するタイプが理想です。
感知範囲 トイレ全体をカバーできるかを確認してください。
センサーが反応しやすい向き・位置に設置することが大切です。
点灯時間の設定 一度転倒したら何秒~何分で消灯するかを調整できるモデルがあります。
使用中に突然消えるのが不安な方は、点灯時間が長めに設定できるタイプを選ぶと安心です。

センサーの精度が低いと、座っている間に突然照明が消えてしまい、驚いたり不安になったりすることがあります。再点灯のために身体を大きく動かす必要があるタイプは、トイレ内の照明としては不向きです。

どうしても照明の消灯が気になる方は、点灯時間の設定が可能な機種を選ぶのもおすすめです。

8. 色の工夫で「見やすく」「わかりやすく」

空間・器具のコントラストの違いによる見え方の比較

(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73835100000)TOTO株式会社 バリアフリーブック パブリックトイレ編 より抜粋

トイレ空間では、色の使い方ひとつで安全性と使いやすさが大きく変わります。

視覚に不安がある方の場合は、どこに何があるかが一目でわかることはとても大切です。

明度・色相・彩度のコントラストで視認性アップ

壁・床・便器・手すりなど、各要素の色にしっかりとコントラストをつけることで、空間の中で物の位置がはっきりと認識しやすくなります。

例えば以下の工夫で、トイレの見やすさが変わります。

  • 床は濃いめ、壁は明るめ、など色味をはっきりすると境界がわかりやすい
  • 壁が明るい色であれば、濃い色の手すりを組み合わせると、手すりの位置が明確になる
  • 扉やスイッチなども、壁と異なる色でアクセントをつけると探しやすい

視認性が高いと、どこに手を掛ければよいか、どこまで車いすで近づけるかなどが直感的にわかり、移動や立ち座りがスムーズになります。

インテリア性と合わせながら、見やすさ・わかりやすさも加味して、色の選定をしましょう。


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バリアフリー・介護リフォームの専門家集団が
「朝起きてから寝るまで」を共に悩み、解決します 

バリアフリーリフォームとは家の中を住みやすくする、というでだけではありません。私共は、家の中の障害や不便をなくす事で、よりエネルギッシュに世界と繋がって生活ができることを目標にしております。

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9. 手洗い場も車いすで使いやすくリフォーム

トイレを使った後に手を洗う動作も、自立を支える大切なステップです。
車いすのまま使いやすいように、手洗い場の高さ・形・配置にも工夫が必要です。

手洗い器の高さと足元スペースに配慮

手洗い器

TOTO バリアフリーブック 住まいの水まわり編より抜粋(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73831790000)

車いすでも、立位でも使いやすいように、洗面ボウルのあふれ面の高さは750mm程度が目安になります。

また、車いすで洗面台に近づくと、足元が洗面台に当たってしまうため、次のような特徴をもつ洗面台がおすすめです。

  • 膝やつま先があたらないよう、洗面器の下が空いているタイプを選ぶ
  • 車いすのフットサポートがスムーズに収まる奥行と高さを確保する

以上のポイントを抑えて洗面台を選ぶと、車いすに座ったまま、しっかりと正面から手洗いができるようになります。

鏡は立っても座っても見やすくなるように設置する

手洗い器の鏡

TOTO バリアフリーブック 住まいの水まわり編より抜粋(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73831790000)

鏡は立っても座っても上半身が映るように設置するのがポイントです。
具体的には鏡の下端を洗面器の上端に出来るだけ近づけて取り付けると、視認性がよくなります。

タオル掛けの高さと位置にもひと工夫

タオル掛けは、車いすから無理なく手が届き、目安として床から1400mm程度に設置します。
また、手洗い後に床に水が垂れないよう、洗面器のすぐ近くに設置することで、移動の不快感や滑りを防げます。

水栓は使いやすさで選ぶ

水栓は使用者の動作に合わせて選ぶのが基本です。

タイプ 特徴
自動水栓 手をかざすだけで水が出るため、操作の手間が少なく衛生的です。
手に力が入りづらい方にもおすすめです。
シングルレバー混合水栓 湯水の調整がレバー1本で可能です。
温水・冷水の切り替え時がクリック感でわかるタイプがおすすめです。

車いす用洗面台の施工事例

車いす利用のためにトイレを広くしたいとのご利用者様のご希望で、元あったトイレの個室と隣接する脱衣室を壊し、一つの部屋にすることで、広さを確保した施工事例です。

トイレ個室内に置いた洗面器は車いす対応のものを使用しています。足元に空間があることで、足をぶつけることなく洗面器に接近できます。

【C.10】トイレと脱衣室をバリアフリーにする|トイレと脱衣室の場所を広く確保する|福祉建築

器具洗浄のためにシンクを設置する

シンクの配置

TOTO バリアフリーブック 住まいの水まわり編より抜粋(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73831790000)

カテーテルや畜尿袋、自助具などを使用して排泄をおこなう場合は、トイレ内に洗浄専用のシンクを設けると衛生管理がしやすくなります。

設置のポイント 内容
位置の工夫 排泄に使用した器具を周囲を汚さずスムーズに洗えるよう、便器に座った状態から手が届く位置に配置します。
ただし、車いすの移乗や動線の妨げにならない位置であることが前提です。
足元の空間 車いすで使う場合は、シンク下に足元が入るようスペースを確保します。
洗面器と同様、フットレストが当たらない設計にしておくと使用しやすくなります。
一時置きスペース 洗浄する前後に、器具を置ける作業スペース付のシンクを選ぶと、動作にゆとりが生まれます。

水栓の選定は以下のポイントをチェックします。

  • シングルレバー混合水栓を選ぶことで、操作が簡単にする
  • 温水対応にしておくと、冬場でも快適に洗浄作業が可能になる
  • 器具のサイズに合わせて、水栓とシンクの位置関係を調整すると、洗いやすさが向上する

排泄補助具を日常的に使用している方にとって、シンクの位置は清潔で快適な生活を支える重要な設備です。

動線を妨げず、使いやすく衛生的に保てるように、位置・形状・水栓の機能を丁寧に検討しましょう。

10. ヒヤッとしない!寒さ対策には暖房をプラス

トイレ暖房器具

TOTO バリアフリーブック 住まいの水まわり編より抜粋(https://www.catalabo.org/catalog/detail/73831790000)

冬場の冷えたトイレは「なんとなく不快」だけでは済まされない危険も潜んでいます。
特に注意したいのが、「ヒートショック」と呼ばれる健康被害です。

ヒートショックとは、暖かい場所から寒い場所へ移動した際に、急激な温度変化によって血圧が大きく変動することで起きる体調不良のことです。

特に高齢者や持病のある方にとっては、心筋梗塞や脳卒中の引き金となることもある深刻なリスクです。
暖房設備を設けておくことで、寒暖差をやわらげ、ヒートショックの予防につながります。

設備 特徴
暖房便座 座った瞬間の「ヒヤッ」を防ぎ、冬でも快適です。
温度調整付の製品も多数あります。
トイレ内暖房機 小型でも十分な暖房効果があり、空間全体の温度を調整できます。

11. 家族も使いやすい!トイレを分けてストレス軽減

介助が必要な方とご家族が同居している場合、トイレを使うタイミングが重なることで、気を遣ったり、待ち時間が発生したりと日常の小さなストレスにつながることがあります。

可能であれば、介助用トイレと家族用トイレを別々に設けることをおすすめします。


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